良い色づきになっています。
風にも遭わず今年は良い秋になりそうです。

下野新聞より転載  9月23日
 きょうは彼岸の中日で、秋分の日。秋空の下、お墓参りに出掛ける家族連れも多かろう。不思議なことに彼岸会はインドにも中国にもなく、太陽信仰と習合した日本だけの仏事だという。彼岸は「日願」だったという説もある▼寺院への参詣、僧侶の説法聴聞などが集中する春、秋7日間の仏事は平安中期以降、彼岸会として定着した。浄土教の興隆で、日想観という落日礼拝が盛んになり、太陽が真東から出て真西に沈む秋(春)分の日の夕日こそ日想観にふさわしいとされた。西方浄土(極楽)に思いをはせるのである▼民間では太陽崇拝の農耕儀礼が仏教行事に組み込まれたという。以上は世界大百科事典(平凡社)に拠ったが、輸入文物をいつの間にか和風にする器用な日本人の姿が見えてくる。戦国時代、優劣を決する兵器となった大量の鉄砲も元をただせば種子島に漂着した一丁の鉄砲だ▼明治に登場した人力車も日本独自の乗り物だった。話が妙にズレてきたが、インスタントラーメン、カラオケ、トイレのウオッシュレット、自動改札機、発光ダイオードなども日本人の発明である。「必要は発明の母」という。こうだったらいいな、と思うことが第一歩だ▼政府が目指す「地方創生」には中小企業の振興が欠かせない。独創性や気迫を「太陽」とあがめ、大切にしたい。