深川橋からだと音江山のすそから日が昇ります。時間も遅くなりました。それでも後一ヶ月の辛抱です。


伊勢新聞「大願小願」より転載2014年11月22日(土)

▼離合集散は政党の習い。前回総選挙以降、日本維新の会やみんなの党の分裂、解散劇を見せられたが、幹事長らが民主党入りする生活の党の場合、なんと、小沢一郎代表が認めた上での移籍

▼民主党の岡田克也代表代行との会談で合意した結果だそうだから前代未聞。小沢代表は、選挙戦で有利だと判断した場合、離党を認める意向を伝えていた。選挙後の政局によっては民主党はまた内部に火種を抱えることにならぬか心配になるが、形を変えた野党再編と言えなくはない

▼「新党結成を模索したが、時間切れで無理になった」。小沢代表はそう言って、離党も認めたという。平成十二年衆院選で、消滅もあるとされた小沢自由党が、小沢氏自身殴られる意表を突いたCMで息を吹き返したことがある。往年の神通力は薄れたとはいえ、二大政党確立の目標に向かい、奇手、妙手縦横の柔軟さに改めて感心させられる

▼「ぶっちぎりの先頭を走っていて、第三コーナーでこける」と岩手県の地元紙関係者が言っていた。「政権を目指す過程を楽しむ」と言ったのは小池百合子氏。そんな小沢氏ではあるが、次期総理目前の検察捜査で、政界での立場を大きく暗転させた

▼田中角栄、金丸信を葬った検察は、その直系の小沢氏の総理就任に震え上がった、と主任弁護人を務めた弘中惇一氏が著書で語る。組織をかけた国策捜査に踏み切り、うまくいかぬと見るや検察審査会の起訴を仕掛け、多くの捏造(ねつぞう)資料を提出したという

▼国民の好き嫌いが彼ほど分かれる政治家も珍しいが、このまま消え去ってほしくない一人ではある。