早い!もう4月ですね。


決まった字数の中で毎日書き続けた大変さが良く分かるコラムでした。

長崎新聞 「水や空」より転載 (2015年3月31日更新)
花は愛惜に散る

 新聞のコラムは長年の伝統で改行しない。代わりに(▲)を使う。わが社は「黒三角」と味気ないが、「飛び石」と呼ぶ社もある。「飛び石の格好がきょうは良かったか、悪かったか」。朝日新聞の論説委員、深代惇郎さ(ふかしろじゅんろう)んは飛び石の配置まで気を配った▲亡くなって40年もたつのに最高の新聞コラムニストとの評価が残る。「天声人語」を担当したのはわずか2年9カ月。病に倒れ、46歳で早世した。コラムはひとりで執筆し、元同僚は「毎日、命を削るように書いていた」と証言している▲ノンフィクション作家の後藤正治さんが最近出した「天人 深代惇郎と新聞の時代」を読んで存在の大きさをかみしめた。新聞のコラムは森羅万象、日々起こるニュースをまな板に載せる。深代さんは抑制を利かせ、ウイットに富んだ文章で、背後に血の通った人間が立っていることを感じさせた▲深代さんと警察(サツ)回りで一緒だった産経新聞の石井英夫さん(81)はコラム「産経抄」を36歳から35年間書き続けた。世におもねず、ずばりと言い切る論調は小気味よかった▲「花は愛惜に(あいじゃく)散る」。短距離かマラソンかの違いはあっても走りきった2人にこそふさわしい。私事で恐縮だが、きょうでこの欄の筆を置く。兼任を含めて13年。2人の背中は遠かった。(宣)