お日様が出て居て風が強くて地吹雪模様でした。山陰の方では吹雪が凄かった様でした。
西日本新聞朝刊「春秋」より転載 2015年02月05日
▼「ドイツの良心」と呼ばれた元大統領のワイツゼッカー氏が先週末、死去した。第2次大戦後40年の節目に行った演説「荒れ野の40年」で知られる
▼〈過去に目を閉ざす者は現在にも盲目になる〉。負の歴史に正面から向き合い、相互理解と平和を訴えた演説は30年を経ても色あせず、むしろ輝きを増す。世界に紛争やテロが絶えない今だからこそあらためて要旨を紹介したい
▼〈強制収容所で命を奪われたユダヤ人、虐殺された少数民族や社会的弱者、宗教や政治上の信念で処刑された人々、各国の戦死者…。数え切れない死の傍らに悲嘆の山並みが続く〉
▼〈この犯罪を行ったのは少数の者だが、人々は目を背け、沈黙を守り、知らないでおこうと努めた。大虐殺など気配も感じなかったと言い張った人はあまりにも多かった。罪の有無、老幼を問わず、われわれ全員が過去を引き受けねばならない。過去を変えたり、起こらなかったことにしたりするわけにはいかない〉
▼〈非人間的な行為を心に刻まない者は再びそうした危険に陥りやすいものだ。ヒトラーは常に偏見と敵意と憎悪をかき立てた。若い人たちにお願いしたい。他者への敵意や憎悪に駆り立てられることのないように〉
▼演題はエジプトを脱出した民が荒野を40年さまよった末、約束の地にたどり着いた聖書の伝承にちなむ。今年は戦後70年。私たちはいまだ荒れ野をさまよってはいないか。
2015年02月
久しぶりに今日はくもりです。
幻想的な朝が続いていましたがしばらく休憩です。
徳島新聞「鳴潮」より転載 2月8日付
▼おめでたい言葉を、と頼まれて、一休宗純はしたためた。「親死 子死 孫死」。何を書くんだ、と怒った信者に言ったとか。「じゃあ、孫死に、子死に、親死に、の方がいいかい」
▼生老病死。仏教にいう、人として避けられない四つの苦しみである。すなわち生まれること、老いること、病気をすること、死ぬこと
▼先に生まれた者が先に逝くのは自然の習い、諦めもつく。現実は順番通りとばかりはいかない。病気で、事故で、一般に逆縁と呼ばれる事態に直面する人がいる。加えて理不尽な、あまりに理不尽な事件が増えている
▼イスラム過激派による人質惨殺。ナイジェリアの10歳の少女は、体に爆弾をつけられ、自爆テロを強要されて死んだ。拉致された200人余りの女子生徒は、いまだに戻らない。子を失った、あるいは生きながら手元から引きはがされた親たちの、むせび泣く声が世界に満ちている
▼嘆きの壁にレンガをまた一つ積む、むごたらしい事件が起きた。容疑者は逮捕されたけれど、「なぜ」を問うのも、むなしい作業になるかもしれない。和歌山県紀の川市、ほんの11歳の小学生に、殺されなければならないだけの理由があろうはずはない
▼愛する者と別れる苦しみを「愛別離苦」という。お釈迦様がどうして八苦の一としたのか、分かり過ぎる昨日今日である。
一人言:今も涙を流している人が沢山居るんですね。当たり前が本当に大切です。その当たり前が不満な人が沢山いるんです。
寒さが厳しい時の風景は美しい。
なんだか次第に紛争に巻き込まれて行くような気がしてきましたね。
高知新聞「小社会」より転載 2015年02月05日
▼イラク戦争前の2003年2月5日。パウエル米国務長官は、国連でイラクが大量破壊兵器を隠し持っているなどと演説した。やがてそれらは虚偽と判明。パウエル氏は辞任後に悔やんだ。「あれは人生の汚点だった」と。
▼戦争中、板垣雄三・東大名誉教授(イスラム史)は、「大義なき戦争」がもたらすであろう戦後の混乱を懸念した。「全世界、米国も幻想から覚める時が来るのは避けられない。戦後統治はイラク国家の分解を促進し、再建や復興のテーマが宙に浮く可能性がある」
▼懸念の中身に踏み込んだのは米情報機関が2006年にまとめた報告書。「イラク戦争がイスラム過激思想の醸成を促し、テロの脅威を拡大させた」。鋭い指摘だったが、脅威の拡大は想像以上ではなかったか。過激派「イスラム国」の出現だ。
▼その過激派は邦人人質事件を起こした。「日本が攻撃対象として照準に入ったのは、米国主導の対テロ戦争やイラク戦争への協力がきっかけだ」。共同通信の木村一浩記者は、先日の高知新聞でこんな見方を示している。
▼人質事件の全容はまだ分からないものの、イラク戦争は中東の人々の対日観にどんな影響を与えたのだろう。戦争は来月で開戦から12年。かなりの時間があったのに、開戦を支持した小泉政権(当時)の判断を日本政府としてきちんと検証していない。
▼汚点はなかったということなのか。それとも見ようとしていないのか。
一人言:結局アメリカが生み出したんですね。
【日米の違い】日本は曖昧なのが美徳だが反省が明確でないことと時が経っても日本は闇に隠された部分が出てこないのかも。
原発問題も同じだね。誰も責任を負わない。
昨夜は満月でした。部屋には月明かりが入ってまぶしい位でした。
今朝も冷え込みで冷え冷えのあさが続きましたね。
冬が寒いと夏が暑いと昔から言われていますのでこれも楽しみですね。
琉球新報<金口木舌>より転載 2015年2月5日
滴り落ちるという意味の「トリクルダウン」理論が議論になっている。安倍晋三首相は2日の参院予算委員会で、この理論について「われわれが行っている政策とは違う」と強調した
▼シャンパンタワーの絵がこの理論を説明する。上からあふれた液体が下のグラスに落ちていくように企業や富裕層が潤うと、やがて恩恵が社会全体にこぼれ落ちるという仮説だ
▼アベノミクスは企業収益向上が経済成長につながるという考えを核として法人税減税などを進める。首相は衆院選前、「企業収益が増え、雇用が拡大し、賃金が上昇し、消費が拡大し、景気が回復する。経済の好循環が生まれようとしている」と力説した
▼今回、首相がトリクルダウンを否定した伏線は、経済学者トマ・ピケティ氏にあるのかもしれない。不平等や格差に警鐘を鳴らす著書「21世紀の資本」を引っ提げて来日。講演でトリクルダウンについて「過去を見渡してもそうならなかったし、未来でもうまくいく保証はない」と否定した
▼効果を肯定する経済学者もいるから検証はこれからだ。しかしピケティ氏が反響を呼ぶのは、世界中で経済格差が社会に暗い影を落としているからだろう
▼日本でも若者が正規雇用に就けず、子どもの貧困は広がる。滴りを待っていられない多くの人たちを救う経済政策に、政権は目を向けてほしい。