白くなったり融けたりの日になりました。
連休の天候はどうなんでしょうね。
こちらと季節は違いますが紅葉の一文に納得です。
中日新聞「中日春秋」より転載 2015年11月21日
▼紅葉(もみじ)の語源は「揉(も)み出(い)づ」だという。なるほど、色づく木々を見れば、目に見えぬ染色家の手が、木の葉に潜む鮮やかな色を、一枚一枚ていねいに揉み出しているようでもある ▼赤みを帯びた新芽から、柔らかな萌黄(もえぎ)色に。緑を濃くしていき、仕上げは秋空に映える赤に。落葉樹の染色家は一年の集大成のように染め上げ、間もなく仕事納めとなるのだろう ▼それにしても、とふと考える。なぜ私たちは紅葉(こうよう)をこれほど美しく感じるのだろうか。そもそも人類の目に赤を感じる力がなければ、いくら鮮やかな紅葉でも感動のしようもない。実際、ほとんどの哺乳類には赤と緑が同じように見えるという ▼私たちの遠い遠い祖先は、赤・青・緑に紫外線を加えた四つの色覚を持っていたが、恐竜全盛の時代に夜行性を強いられて視覚より聴覚や嗅覚に頼るようになったために、二億年ほど前に二色色覚になってしまった ▼だが恐竜の世が去って昼の世界に戻り、樹上で暮らしているうちに、赤を見分ける力を取り戻したという。それはおよそ三千万年前のこと。赤く熟した実を見つけるためとも、柔らかい新芽の赤を見分けるためとも考えられるそうだ ▼木の恵みをしっかり食べて生き残るために、霊長類が長い長い歳月をかけて手に入れた「赤」を見る力。ご先祖さまに感謝しつつ、紅葉をこの目でじっくり味わうことにしようか。
2015年11月
音江山から白さがなくなりました。色んな年がありますから今年が道と言うことはできませんが面白い年になりそうです。
紀伊民報「水鉄砲」2015年11月19日(木)
「農家の収入3割減」
▼もしも、公務員や農協職員の年間所得が3割も減ったら、どんな騒ぎになるだろう。大都市で働くサラリーマンにとっては、そんな事態は想像を絶することだろう。 ▼ところが、県内のミカン農家では、それが現実になる可能性がある。県の試算によると、環太平洋連携協定(TPP)に備えた対策を講じないと、農林水産物の産出額は年間約55億円、かんきつ類への影響は36億円減少する。▼温州ミカンを1・5ヘクタール、それ以外のかんきつ類を0・5ヘクタール栽培している農家の場合、関税が撤廃されると、現状の所得が546万円から387万円にまで減ることになるという。これでは、政府のいう「地方創生」どころか「農家消滅」になってしまう。 ▼県はこの試算を基に、生産コストを下げたり、品質を高めるための手だてや海外への輸出を促進したりする施策を農林水産省に要望した。必要な額は、県内だけで183億円になるという。 ▼問題は、政府が地方の未来をどのように描いていくのかという点にある。「地方創生」というなら農林水産業の振興が基本になる。新たな魅力を生み出すには処方箋を示さなければならない。中央からの押しつけではなく、畑で汗を流す農民の声にも耳を傾ける必要がある。 ▼幸い、この地には1991年のオレンジ輸入自由化の波を知恵と工夫で乗り切ったミカン農家も少なくない。そうした経験に学んでこそ、血の通った農政が進展するのではないか。 (石)
深川にも何本かありますが食べるまでに一ヶ月も処理にかかるので食べたことはありません。「とち餅」は名産品なのですが当地では手が付けられません。創ってみたいですけど・・・。
デーリー東北「天鐘」より転載(11月18日)
出会った人の名前が浮かばない。言葉や漢字が出てこないことも。「頭の中の引き出しに収まっているはずだが」。焦りが生まれ、やがて、ふがいなさが募る。こんな経験は誰でもあるだろう▼記憶力のピークはいつか、脳科学者は長いこと研究を重ねてきた。見たり聞いたりしたことをイメージとして取り込む右脳の働きは3歳ごろが最高で、言葉や理屈で考える左脳は幼児期から急速に発達する▼歴史の授業で学ぶ年代や英単語の暗記力は20歳前後が頂点。判断力を伴い、経験の蓄積が物を言う知能は60代がピークとか。個人差はあるものの、好奇心を持ち、訓練を続けると能力は年齢に関係なく伸びるそうだ▼一方で人間は、もともと忘れる能力を備えている。膨大な情報と刺激にさらされる現代人は、その力を強めたのではないか。衝撃的な出来事も時間がたてば記憶が薄れる。一時の関心事も繰り返すうちに慣れてしまいがちだ▼きのう、九州電力川内原発2号機が営業運転に入った。東京電力福島第1原発の事故後2基目。新規制基準をクリアしたものの、安全と判断した責任の所在は不明確。避難計画の実効性については疑問の声もある▼世の中には忘れてならないことがある。原発事故の記憶、廃炉の先行き、今も避難生活している大勢の人々の存在、使用済み核燃料の最終処分地。再稼働が進んでも、これらの問題は解決していない。
農業を重点に次から次にと対策、対策!と手を打つのはいかに影響が大きいのかを示しているようなもんです。今度は工業品の他、農業をを含めた「新輸出大国」ですって! 人口減少社会で内需の拡大が見込めない中では当然出てくる言葉でしょうが、兵器の輸出が可能となり隊員も外に出ていける様になり危うい国になりそうです。
福島民友新聞【編集日記】2015年11月17日 10時30分
人は一人一人違うと分かっているはずなのに「高齢者」などと集団を指す言葉を使うとき、何となく均質な集団として捉えていないだろうか。世界保健機関(WHO)が「高齢化と健康に関する報告書」で問題を提起している
▼報告書は「典型的な高齢者など存在しない」との表現で、高齢者の体や心の状態がいかに多様で個人差があるかを強調。一方で高齢者の社会に対する貢献は、医療や介護にかかるコストを大幅に上回るとの研究を紹介する
▼その上で、高齢者がその多様さに応じた貢献ができるような社会づくりを―と各国に求めている。これは高齢者を「集団」と捉えていてはできないことで、「個」の実情を踏まえた政策をどう作るかが鍵となる
▼日本は世界最速で高齢化が進み、高齢者の社会への貢献を増やすことを多くが望んでいる。しかし、この国には学校にせよ会社にせよ、全員が同じような行動を取る集団であることを前提につくられた組織が相当に多い
▼安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」はどうか。「1億」も「総」もあまりに巨大で均質な集団の響きがある。「個」を大切に、それぞれが輝くという発想にならなければ「1億総活躍」実現への道のりは遠い。
関東ではポカポカだとか・・。こちらは雨交じりで冷たい感じの日になりました。
福島民友新聞【編集日記】より転載 2015年11月17日
人は一人一人違うと分かっているはずなのに「高齢者」などと集団を指す言葉を使うとき、何となく均質な集団として捉えていないだろうか。世界保健機関(WHO)が「高齢化と健康に関する報告書」で問題を提起している ▼報告書は「典型的な高齢者など存在しない」との表現で、高齢者の体や心の状態がいかに多様で個人差があるかを強調。一方で高齢者の社会に対する貢献は、医療や介護にかかるコストを大幅に上回るとの研究を紹介する ▼その上で、高齢者がその多様さに応じた貢献ができるような社会づくりを―と各国に求めている。これは高齢者を「集団」と捉えていてはできないことで、「個」の実情を踏まえた政策をどう作るかが鍵となる ▼日本は世界最速で高齢化が進み、高齢者の社会への貢献を増やすことを多くが望んでいる。しかし、この国には学校にせよ会社にせよ、全員が同じような行動を取る集団であることを前提につくられた組織が相当に多い ▼安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」はどうか。「1億」も「総」もあまりに巨大で均質な集団の響きがある。「個」を大切に、それぞれが輝くという発想にならなければ「1億総活躍」実現への道のりは遠い。