カムイリンクスはいつまで利用できるのかな?
西側の斜面なのでシーズンは短い。

徳島新聞「鳴潮」より転載   3月14日付

 「大衆は断言を求めるので、証拠は求めない」。フランスのノーベル賞作家アナトール・フランスの一文だ。上から目線が気に掛かるが、鋭い洞察力である
 
 これを実践した政治家といえば小泉純一郎元首相だろう。短い語句を並べるだけで説明に乏しかった政治手法は「ワンフレーズポリティクス」(一言政治)と批判的に呼ばれたが、歯切れの良さは大衆を引き付けた
 
 小泉政権時代に頭角を現した安倍晋三首相は、小泉氏を「政治の師」と仰いでいる。首相の演説で断定口調が目立つのも、意識しているからだろう
 
 小泉氏が「よくああいうことが言える」と、首相を痛烈に批判した。東京五輪招致の際に、原発汚染水がコントロールされていると言い切ったことについてである。国民の多くが首をひねったコントロール発言にズバッと切り込んだのはさすがだ
 
 地元の反対の声を無視して、米軍普天間飛行場の移設先、名護市辺野古で海底ボーリング調査が再開された。首相を筆頭に政府は「丁寧に説明する」と繰り返してきたのではなかったのか。説明どころか、首相は昨年末に就任した翁長雄志知事とは会おうともしない
 
 指導力を演出するために、演説で言い切るのは結構だが、自身の言葉には責任を持ってもらいたい。国民は断言だけではなく、実行も求めているのをお忘れなく。