咲いている花の芯を眺めて見ました。よ~く見てみると面白いですね。

長崎新聞[水や空]より転載 (2015年5月29日更新)
憎まれ役
 〈私たちは...おかしいと思うことは、世間すべてを敵に回しても、おかしい、と発言してきた人間なのです〉。元自民党幹事長の野中広務氏は政界引退後の2007年、野球評論家の野村克也氏との共著で「憎まれ役」という題名の本を発表している(文春文庫)
▲引用したのは政界での立ち位置を振り返った野中氏の一文。実力者として党内ににらみを利かせながら、小選挙区制度の導入に反対して「守旧派」となじられ、国民的支持を受けた小泉政権下では「抵抗勢力」と指をさされた
▲その野中氏は、集団的自衛権の行使を容認する昨年7月の閣議決定を直後に「暴挙」と強く批判。同時期のインタビューで「自民党内から多様性が失われている」「戦争の傷跡を謙虚に検証すべき」と訴えた
▲派閥の功罪には別な議論も必要だが、党内の言論の多様性と、議論の積み重ねの末に着陸点を探す柔軟性は、確かにこの党の最大の持ち味であり、強みだった。今の安倍政権にはそれが見当たらない。安保政策の大転換に、何の異論も出ない
▲久しぶりに読み返して見つけた一節。〈日本の保守とは、一度壊したら二度と再建できないものは絶対に壊さない、必ず守るということではなかったのか〉-憎まれ役の8年前の警告が今、重く響く。(智)