結構な足跡がついていた。固雪を繋いでテンコツを目指す。雲に覆われた朝の天候も次第に好天に恵まれて360度の見晴らしとなった。

南日本新聞「南風録」( 3/27 付 )
 ▼学校には校訓があり、企業には社訓やキャッチフレーズがある。簡明な言葉で表現することで目標をわかりやすくし、一丸となって進む力にもなる。 ▼例えば「不屈不撓(ふとう)」。今年の選抜高校野球大会で鹿児島代表として熱戦を見せた鹿児島実業高校の校訓である。どんな困難にあってもあきらめない姿勢は、卒業生にとっても心の支えだろうか。 ▼安倍晋三首相もしばしば、スローガンともいえる同じフレーズを繰り返す。東日本大震災5年を前にした記者会見では、「東北の復興なくして日本の再生なし」と述べた。被災地の復興に寄り添い続ける思いに異論はない。実現のために、国民の心を一つにしなければならない。 ▼こちらはどうだろう。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に絡んで安倍政権がしばしば使う「辺野古が唯一の選択肢」だ。「原子力規制委員会の世界一厳しい規制基準に適合した原発は再稼働させる」というのもある。 ▼沖縄県民から反対の声が上がろうが、司法が原発運転差し止めの仮処分を決めようが、変わらずに唱え続けている。定めた目標を変えないかたくなな態度は、異論が耳に届いているのか、心配にさえなる。 ▼「国民の命と平和な暮らしを守る」が“スローガン”の安全保障関連法が29日、施行される。もう一つ首相が繰り返し述べていた「国民に丁寧に説明する」も、忘れずに実行してほしい。