2015年03月
まだ畦が見えないけど少なくなっていることは確かです。
東京新聞「筆洗」より転載 2015年3月14日
「私たちには耳は二つあるのに、口は一つしかないのはなぜか。それは、より多く聞き、話すのはより少なくするためだ」と、古代ギリシャの哲学者は語ったという▼まことに味わい深い警句だが、耳が二つあるおかげで、私たちは音がどこから来たのかが分かる。俗に耳と呼ばれる耳介が、これほどデコボコと複雑な形をしているのも、音源が上下どちらの方向にあるかを探るのに役立っているそうだ▼まさに造物の妙。高性能の集音装置が私たちには備わっているわけだが、どうも政権幹部のみなさんには、特定の方向からの音が聞こえていないようだ▼沖縄の普天間飛行場の辺野古移設をめぐっては、移設反対派が、地元名護の市長選でも県知事選でも勝った。総選挙では沖縄の全選挙区で自民党候補が敗れた▼沖縄の人たちが議会制民主主義の枠組みで目いっぱい反対の声を上げているのに、政府は海底掘削調査の再開に踏み切った。名護市長が「政府は全く聞く耳を持たない」と憤るのも無理はなかろう▼『図解 感覚器の進化』(岩堀修明(のぶはる)著、講談社)によれば、私たちの耳は、平衡感覚を保つための器官に、音を感じる機能が加わってできたそうだ。自分たちに都合のいい声は聞こえるが、そうでない民意は聞こえぬというのは、為政者にとりわけ大切なバランス感覚の麻痺(まひ)だろう。政権の「耳」は病んでいるようだ。
一人言:そんな人達がもっともらしく道徳や教育を論じているのが問題だね。
カムイリンクスはいつまで利用できるのかな?
西側の斜面なのでシーズンは短い。
徳島新聞「鳴潮」より転載 3月14日付
「大衆は断言を求めるので、証拠は求めない」。フランスのノーベル賞作家アナトール・フランスの一文だ。上から目線が気に掛かるが、鋭い洞察力である
これを実践した政治家といえば小泉純一郎元首相だろう。短い語句を並べるだけで説明に乏しかった政治手法は「ワンフレーズポリティクス」(一言政治)と批判的に呼ばれたが、歯切れの良さは大衆を引き付けた
小泉政権時代に頭角を現した安倍晋三首相は、小泉氏を「政治の師」と仰いでいる。首相の演説で断定口調が目立つのも、意識しているからだろう
小泉氏が「よくああいうことが言える」と、首相を痛烈に批判した。東京五輪招致の際に、原発汚染水がコントロールされていると言い切ったことについてである。国民の多くが首をひねったコントロール発言にズバッと切り込んだのはさすがだ
地元の反対の声を無視して、米軍普天間飛行場の移設先、名護市辺野古で海底ボーリング調査が再開された。首相を筆頭に政府は「丁寧に説明する」と繰り返してきたのではなかったのか。説明どころか、首相は昨年末に就任した翁長雄志知事とは会おうともしない
指導力を演出するために、演説で言い切るのは結構だが、自身の言葉には責任を持ってもらいたい。国民は断言だけではなく、実行も求めているのをお忘れなく。
夕景です。
老化を防ぐために感動を維持しよう。とは言ってもそれもこれも足腰の丈夫な内、目の見える内、口の達者な内他色々有りますがすこしづつ取り上げられていきます。残念!!
福井新聞「越山若水」より転載(2015年3月23日午前7時25分)
「近ごろ物忘れが多くて。何か感激することも少ないし。もう年かな」―高齢者でなくてもこんな会話が日常化している。ひょっとして感動力が衰えているのかも▼脳科学者が指摘するように、感動は人間にしか味わえない。それを失っていくことは悲しい。いつまでも喜怒哀楽に満ちた日々を過ごしたいと思うのが自然だ▼学説によると、脳の老化は脳が萎縮することが一因している。特に思考や理性をつかさどる前頭葉や記憶する機能の海馬などは、ほかの器官に比べ速く縮むという▼その結果、集中力や記憶力が減退し感動も少なくなる。脳の老化は20代から始まるともいわれるが、近年の研究では高齢になっても神経細胞が増えることが明らかになってきた▼それには健康管理も大切だが、常に好奇心や探究心を持ち続けたい。経験を重ねると目新しさがなくなり、感動や達成感を味わうことも少なくなりがちだ▼聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さんは103歳のいまも現役。「まだまだゴールは遠い」と言い、「人生とは未知の自分に挑戦することだよ」と前を向き続ける▼生涯現役。農家民宿を営むため70歳で運転免許を取得した知人女性がいる。絵画や音楽に夢中になる高齢者も多い。ワクワクする材料はいくらでもある。世の中、日々新しい。脳トレのため新聞を読んで感動してもらいたいのが、本音。